ザ・フェミニズム。-上野千鶴子・小倉千加子
結構分厚い文庫本なのに、そのほとんどが口喧嘩のようなやり取り。
今まで上野千鶴子の本は読んだことがあったけれど、小倉千加子は初めてで、
上野千鶴子にここまで言える人が存在すること、にまずびっくりした。
やっぱり、日本のフェミニズムの、2大巨頭なのだなと思った。
フェミニズムが何なのか、正直言って私はよくわかっていないと思う。
でも、昔から上野千鶴子が好きだった。
私にとって上野千鶴子は、男女の不平等を訴える人というよりは、おかしいことはおかしいと思っていいと教えてくれた人だ。
おかしいと思うお前がおかしい、と言われることの多い世界の中で、その存在は泣きそうなくらい心強かった。
私は、大学を出て社会に出るまで、日本がまだまだ男女平等にはほど遠い国だということに気付いていなかった。
新卒で入社した会社は、新卒の総合職女子は4人に1人の割合でしか取らないと決めていた。
ある年、選考の結果、上から順に数えてゆくと女子の数が規定の割合を超えていた。
人事は各部署を呼び寄せ、どの部署が女子を採用するのかを相談させた。
結果、選考結果が上位だった女子は落され、男子が繰上げ内定となった。
そんなことが普通に行われていた。
そういうもんなんだから、仕方ないじゃん、と言って、結婚して子どもを産んでゆく友だちたちに羨ましさより戸惑いを覚えていた。
何で女に産まれたというだけで、結婚すると当たり前に名字を変えなければならず、当たり前に男の家の嫁にならなければならないのだろう。
何で?と言っただけで、わがままだとか、それなら結婚しなければいいと言われるのだろう。
男は、名字を変えなくても、婿にならなくても、何も言われないのに。
溢れる疑問を飲み込むか、波風を立てるかしなければ、結婚すらできない。
結婚自体そういうものなのかもしれないけれど。
本を読んで痛烈だったのが以下のような主張。
男が女に、女は仕事をするな、家にいろ、と言ったから、フェミニストのような主張はしない女はおとなしく家に入ろうとした。しかし女は言う。私たちが安心して専業主婦になれるような、経済力があって、一緒に家事育児をやってくれるような人がいません、だから結婚もできず子どもも産めません。-そしてこの国は滅んでゆくんです。
財界の本音は、労働力が足りないから、女にも働いてほしい、でも適度に働いてほしい、かつ不利な条件の下で働き続けてほしい、ということ。
解説がわかりやすかったので、最後の最後に載っている解説だけ読んでもいいかも。
遥洋子さんの本も読みたくなった。