若さの価値。
若いっていうのはそれだけで価値がある
そう言った先生の表情や声を今も覚えている。
特にかしこまった話じゃなかった
先生はシステムエンジニアとして働いていた頃
上司が自分のことを、あの子仕事できないんだよね、と言っているのを聞いて即退職、その後教員試験を受けて高校教師になった人だった。
話の前後は忘れてしまったけれど、人材市場では若いっていうだけで価値がある、という話だったんだと思う。
そんな物珍しい話じゃない。
でもなぜか鮮明に覚えている。
その時私は16才で明らかに若くて
先生は30ちょっとで私から見たら若くはなかった。
若いっていうのはそれだけで価値がある、と言われた時の、弾かれたような優越感と、私の価値はそんなものだけじゃないという反抗心。
期間限定でしか抱けないその感情を、
無意識のうちに覚えておこうと思ったのかもしれない。